<いま茲に殉國の翼あればたちまちにして敵の輪形陣を消滅し皇國の危急を救ひ得べきこと明らかなるを思へば、
湧き上る血潮おさへ難たく誰か生命など惜しまんや。
茲においてか簡節にして的確なる神技の訓練を重ね、一発必中を期し以て爆弾を抱いて爆弾と共に祖國の急を救はなん、いざ。
この翼いま飛ばざれば何時の日國に報ゆる時あるらん>(陸軍特別攻撃隊、檄文)
- 神坂次郎『今日われ生きてあり』
「夏も終わり、いまやBBQに浮かれる季節でも無くなつた。しかしBチームとして名誉ある対処を静かに考えるべき時期が来た」
訓示が終わるとBBQ演習志願者を募つた。
「BBQ演習に志願する者は一歩前へ」
工作員は日曜の夜バイトがあるので早めに帰れるのなら志願しようと思つた。
酔つ払ひは「土曜日の夜は前後不覚で携帯をタクシーに忘れるまで呑みたい」と思つてゐたがいつもの様に「了解」と返事した。
料理長は「テーブルと椅子今日ネツトで買いましたよ。ドタキヤンとか無しつすよ」とやる気満々であつた。
小金井公園で武蔵野けつたくり團の初BBQ。御幸町から台車と婆チヤリで荷物を運ぶ。
「台車もつと早く押さんかい。陽が暮れんぞ」、「俺、チヤリで先行つて場所確保してきます」。
十月の終わりでも此処小金井公園はバーベキューで賑つている。よし、場所も決まつて設営完了。
先ずは麦酒で乾杯して、後は炭をおこせば焼くだけだ。しかし、なかなか炭がおきませんな。二、三十分掛かりました。
その間に料理長が早速胡瓜で摘みを作る。「美味いじやん」。さてと、野菜焼くか。肉ばかり食つてると痛風くらいまつせ。
紫蘇の鶏肉巻き、鮭ホイル焼、茸ホイル焼と料理長の技が冴える。「俺、何か一人でこじんまりした店やろうかな~」、「此処でやんなよ。毎晩呑みに来るよ」。
しかし、炭火はいいね~。野菜も肉も美味く焼けるね~。戦闘機が編隊で上空を飛ぶ。「この辺に基地有りましたつけ?」、「横田か立川かな」。
尖閣諸島は領海侵犯されたが、制空権はまだ奪われてない筈だ。「友軍だ。空爆の恐れなし」。
野菜、肉、魚、焼蕎麦。今日買つた食材は全て平らげてBBQ初演習は無事終了。次回のBBQ本番が楽しみである。
今宵も醉つて候。